建築家の設計で家を建てる場合、床面積の小ささは決してネガティブばかりではありません。むしろその中でどれだけ魅力的な空間が出来るかという工夫が沢山詰まった小さな住宅を今回は3つご紹介致します。
家の躯体
最初にご紹介するのは、鉄筋コンクリート造の家を数多く設計している若手建築家、五十嵐理人氏設計の自邸『家の躯体』です。都内の狭小敷地において、住宅を仕上げられた内部空間としてではなく、躯体そのものが住まいの器と捉え直しています。内部には段状に重なる7枚の床を挿入し、それらを緩やかに連続させた立体的なワンルームとして構成。躯体のままの空間に光や視線の抜けを導き、棚や設備なども丁寧にデザインし溶け込ませることで面積以上の広がりと多様な居場所を生み出し、小住宅の可能性を広げています。
天井の高さ、床や壁同士の隙間の抜けから得られる開放感は、ここでしか感じられないでしょう。

是非、沢山の写真を建築家住宅手帖のinstagramから確認してみてください。
建築家プロフィール
五十嵐 理人
1983年 東京都生まれ
2008年 工学院大学大学院建築学専攻 修了
2008年~清水建設株式会社設計部
2014年~SUPPOSE DESIGN OFFICE
2019年 自身の設計活動をスタート
2020年~IGArchitects設立
2025年~東京理科大学非常勤講師
2025年~東京電機大学非常勤講師
2026年~法政大学非常勤講師
火の山のツリーハット
次に紹介するのが、日本建築学会賞も受賞した有名建築家中村拓志さん設計の『火の山のツリーハット』です。箱根の急峻な斜面と深い樹林に抱かれた場所に、人がそっと身を預けられる最小限の居場所を紡いだツリーハウス。細い支持体で宙に浮かぶ床やデッキが、樹木や地形の間にやわらかく存在し、歩むごとに視線や気配が森へとほどけていきます。小さな部屋の外はすぐ大自然。風や光、葉擦れの音までもが身近に届き、自然と共に息づく小さな建築の豊かさを静かに語りかけてきます。

より詳細が分かる写真や、図面が見れる建築家住宅手帖の特集記事はこちら。
建築家プロフィール
中村拓志
1974年 東京生まれ。鎌倉と金沢で少年時代を過ごす。
1999年 明治大学大学院理工学研究科建築学専攻博士前期課程修了。
同年隈研吾建築都市設計事務所入所。
2002年 NAP建築設計事務所を設立。
現在、明治大学 理工学部 特別招聘教授、NAP建築コンサルティング、NAP International、NAPデザインワークスの代表。
加藤小屋
最後に紹介する加藤直樹さん設計による「加藤小屋」は、延床31.67㎡の小さな平屋に家族5人の暮らしを受け止める仮住まい建築です。
ワンルーム状の内部は構造用合板で包まれ、床に座り、寝転び、食事や作業を同じ場で重ねながら日々が営まれます。大きな家具は置かず、物は壁際や床下に収まり、中央には自由な余白が残ります。光や気配、家族の動きが緩やかに混ざり合い、小ささが親密さと自由さへと変わる暮らしの風景が息づいています。最近増築が行われ、また新たな暮しが拡張、展開されています。

増築前の色んな角度からの写真は、建築家住宅手帖のinstagramから見ることができます。
建築家プロフィール
加藤 直樹
1986 神奈川県生まれ
2006 町田デザイン専門学校 | 建築デザイン科卒業
2007-2012 有限会社高橋貢住環境設計事務所勤務
2012-2014 桑原茂建築設計事務所勤務
2014 N.A.O|ナオ 一級建築士事務所設立
以上、今回は建築家が手掛けた小さな住宅3選を、お届けしました。いかがでしたでしょうか。面積の小ささは工夫次第で広く感じるように出来る事はもちろん、3つの事例を通してむしろ小ささを活かした豊かな暮らしがあることがお分かり頂けたかと思います。みなさんも是非、小さくも豊かな家に住んでみませんか。

