家づくりを考え始めたとき最初に意識するのは、不動産や建物の「価格」ではないでしょうか。

実際には住宅が完成し、引き渡しを受けるまでには、目に見えにくい多様な費用が生じます。そのなかでも、土地建物に直接関係しない費用は「諸費用」と呼ばれます。これをどれだけ把握しているかによって、建築家住宅の計画は大きく変わります。

本稿では、建築家と進める家づくりのプロセスで重要となるこの諸費用について、新築戸建てを例に整理してみたいと思います。

■1 土地取得にまつわる費用

すでに土地を所有している方を除けば、家づくりは土地探しから始まります。土地代とは別に、不動産仲介手数料、登記費用(所有者や権利を法的に記録する費用)、印紙税(契約書に貼る印紙代)などの費用が発生します。
さらに、家づくりを正確に進めるためには測量費用も欠かせません。境界の確認や現況を把握するための重要な工程です。

■2 住宅ローン関連費用

住宅を建てる場合、多くの建主が住宅ローンを利用します。ローンには、銀行に支払う事務手数料、保証会社に支払う保証料、印紙税などの費用が伴います。金融機関によって費用の項目や条件はさまざまで、総支払額で比較することが大切です。

■3 建築本体以外の工事費

建築家住宅の見積書では、「本体工事費」と「付帯工事費」が分けて示されます。付帯工事には、庭やフェンスなどの外構工事、水道菅やガス管の引き込み工事などが含まれ、建物本体とは別に必要となる費用です。外構工事は住宅の印象を大きく左右し、暮らしやすさにも直結します。アプローチや駐車スペースなど、規模や仕様によって費用には幅があります。一般的には建築費の5〜15%程度を見込むと安心です。

また、重要となるのが「地盤調査」です。地盤の状態を調査し、安全に建物を建てられるかを判断するためのもので、建物の配置や階数、構造により異なりますが、結果によっては地盤改良費を見込んでおく必要があります。

既存の建物がある場合には、解体費も要します。解体費は構造種別や面積、アスベストの有無によっても費用感が変わります。

■4 設計監理料

建築家住宅を建てる際には、設計事務所への設計監理料が必要です。オンリーワンの生活空間を創造し、図面作成から現場での監理まで含まれるため、住宅の完成度を左右する重要な費用です。またこれには、建物の構造安全性を確保するための構造設計料も含まれていることが多く、建物の品質を支える費用といえるでしょう。

■5 確認申請などの各種申請費用

建築計画が建築基準法に適合しているかを審査する建築確認申請には、確認検査機関への手数料が必要です。

また、省エネ適合性判定(省エネ適判)が今年度より求められます。
建物のエネルギー性能が基準を満たしているかを第三者機関が審査するもので、判定手数料が発生します。

■6 竣工時に必要となる費用(登記・火災保険)

住宅が完成すると、建物に関する登記が必要です。まず表題登記(所有者や権利等を法的に記録するためのベース)を土地家屋調査士が行い、続いて保存登記(所有者の法的な記録)を司法書士が担当します。いずれも登録免許税と呼ばれる税金と専門家への報酬を要します。

また、住宅ローンを利用する場合には火災保険の加入が必須です。補償内容や期間、建築場所の災害リスクなどによって保険料が変動します。

■7 引っ越し以降に必要となる費用

住宅が完成した後にも費用は続きます。家具・家電、カーテン、照明器具などは建物本体に含まれないため、入居に合わせて準備が必要です。
また、入居後には毎年固定資産税、都市計画税が発生します。新築住宅には一定期間の軽減措置がありますが、継続して掛かるので、土地建物のメンテナンス費用を含めた維持管理の長期的な計画が重要です。

さらに、忘れずに考えたいのが不動産取得税です。土地と建物の取得に対して一度だけ課税される税金で、新築の場合は軽減措置が適用され、ゼロになることが多いものの、一定額を見込んでおく必要があります。(完成してしばらくしてから請求が来ることがあります)

総予算の考え方

家づくりでは、土地や建物の価格だけでなく、諸費用を含めた総予算を俯瞰的に捉えることが欠かせません。計画の各段階で発生する費用をあらかじめ理解しておくことで、想定外の出費にも落ち着いて対応でき、住まいの質を保った判断が可能になります。

一方で、家づくりの過程では多くの選択や調整が求められ、建て主だけで整理するのは容易ではありません。建て主の立場に寄り添いながら計画全体を並走してサポートしてくれるパートナーに相談することも有効な選択肢です。専門的な視点を取り入れつつ、総予算を軸に検討を重ねることで、不安を整理し、納得感のある家づくりへとつなげていくことができるでしょう。

建築家住宅手帖でも、専門スタッフによるトータルサポートが可能です。お気軽にご相談ください。

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