
「建築家住宅」に限らず、住宅を購入する際に、誰もが気になるのはお金のことではないでしょうか。今回は特に、建築家住宅を購入する際に意識しておくべき「お金周りのポイント」をまとめていきます。
修繕範囲を明確にし、予算の目安を把握する
建築家住宅を購入する際、早々に修繕範囲を見極めることは、全体の予算に大きな影響を及ぼします。ゼロから造る新築住宅とは異なり、築年数の経過した建築家住宅は、当時の作られかたや、元所有者の住まいかた、メンテナンスの頻度によっても状態は様々です。そのため、見えない部分に大きな修繕費用が掛かる可能性も考えられます。
購入してから想定以上の修繕費用が掛かり、実現したい暮らしが叶わない、なんてことのないよう、専門家との協力体制を組むことが最も重要であると考えています。
\予算を把握するための専門家3選/
①ホームインスペクター・既存建物状況調査技術者
修繕箇所を明確にする方法のひとつとして、「ホームインスペクション」や「既存住宅状況調査」があります。建物調査を専門にする建築士による現地調査を行うことで、修繕の必要性がある部分を見える化し、全体予算を把握・検討するための手段のひとつです。
屋根裏や床下も見ることができ、既存図面が残っていると、より詳細な調査が可能です。また時より買主側ではなく、売主側で調査を実施している場合もあり、その際は「調査報告書」を取り寄せ、調査結果内容を確認しましょう。
なお、調査費用は範囲や物件の状況によっても変わりますが、10万円前後を目安としましょう。
※詳細:中古住宅の不安を解消!ホームインスペクションって何?:click
②施工会社、工務店
①の調査で、修繕の必要性がある部分を見える化しても、実際の修繕工事を行うわけではありません。修繕費用の算出には、改めて「工務店などの施工会社」による現地調査を依頼します。
物件を購入することも決まっていない段階で工事業者に相談をしていいものかと、悩んでしまう方も多いかもしれません。が!悩んでいる場合ではありません。修繕範囲を知る=予算を知る、です。目の前の建築家住宅が手に入るか否かの大事な局面ですので、迷わず相談をしましょう。
なお、建築家住宅の場合、新築当時の工務店情報が残っている場合も考えられます。新築時の工事を請け負った工務店に修繕をお願いできるのであれば、なんとも心強いパートナーではないでしょうか。
③建築家
②の工事見積を行う前に選定したいのが、リノベーションを依頼する「建築家」です。修繕の優先順位付けを行い、工事範囲を整理・調整をすることで、全体のコストコントロールを図る、とても重要な役割を担います。
建築家住宅の場合、当時設計をした建築家が健在なこともあります。すでに引退していたとしても、その建築家を良く知る建築家であれば、設計意図を踏まえた修繕を行うことも可能かもしれません。②の現地調査の際に、建築家にも同行してもらうことができると、話が早いのです。
修繕費用は住宅ローンで一緒に借りる
空き家の数が年々増えている昨今、中古住宅の購入費用に合わせて、修繕費用も借りることのできる金融機関は増えてきています。しかし、金融機関によって条件が異なるため注意が必要です。
築年数を経た中古住宅で、建物の減価償却期間という税法で定められた期間が過ぎている場合、希望通りの融資額を借りられるかは、個別の審査によります。
なお、住宅ローンで修繕費用を借りる場合の融資額の平均目安は、木造2階建ての一般的な規模の場合は、1500万前後程と考えておくと良いでしょう。不足する場合は、修繕工事範囲を調整したり、自己資金が必要となる場合も考えられます。
物件購入費用も合わせた融資可能額は、購入者の年齢や勤務状況、資産状況によっても大きく変わってくるため、早期に金融機関の事前審査を受け、融資額の目安をたてることも重要なポイントとなってきます。修繕費用のみをリフォームローンで借り入れることも可能ですが、借入期間が住宅ローンと比較して短く、また金利も高いため、可能な限り物件購入費用と併せて低金利の住宅ローンで借り入れることをおすすめします。
お金にまつわる不安は誰にでもつきものです。早期に適切な専門家とタックを組むことで、安心安全な不動産購入ができるのではないでしょうか。